NSXの1-2-3というグリットで予選を終え、むかえた決勝。前回のようにNSX同士の接触という事態が起きないように、スタート直後は自分のポジションを守ることに徹しました。ウエイトを搭載している8号車は、ラルフがスタートし、積極的に飛ばしていく中、ドライバー交代の際にタイヤの2本交換を目論んでいた僕の駆る18号車と100号車は、タイヤを労わりながらの慎重なドライビングが続きました。そうこうしているうちに300クラスのバックマーカーが現れ、僕が行く手を阻まれた隙に100号車に前を行かれてしまいました。更にその際の接触が原因なのか、僕のマシンはその後思うような走行ができず、必死で100号車を追ったもののタイムアップができませんでした。そうこうしているうちに32号車(EPSON NSX)にも抜かれてしまい・・・操作性が少しくるってしまったマシンで無理なバトルをするのはリスキーでした。ましてや、タイヤ2本交換でピット作業を縮める作戦を考えていた18号車としては、タイヤを痛めるわけにはいきません。無駄な争いは避け、とにかくペースを守って作戦を決行すれば、自ずとトップに踊り出ることができると確信していました。
いよいよピットインの指令が出て、ピットロード直前、シートベルトも緩め、ドライバー交代の準備は万端でした。するとピットに8号車の姿が見えました。何故8号車が今ここに!?釈然としないままとにかくマシンを降り、「何でラルフがおるんや!?」と聞きました。実はラルフが走行中にシフトにトラブルが発生し、緊急ピットインしてきたとのことでした。だったら何故もっと早くに僕に状況を無線連絡してくれなかったのか?そうすれば僕はもう1周走ってピットインをずらすことも可能でした。些細な連絡の行き違いによりチームの2台が同時にピットインしていまい、更に追い討ちをかけるように8号車の隣のARTAガライヤもピットインしてきて、なんとピットで.3台が並んでしまうという状況になってしまいました。リアタイヤだけ交換した18号車は、すぐに出たいところでしたが、2台が行く手を阻んでおり、一度後ろに引き戻してから押し出すという形でピットアウトするしかありませんでした。ここで5秒もタイムロスをしてしまい、コースに戻ったときに同じくタイヤ2本交換で交代した100号車の前に出ることができませんでした。小暮選手も懸命の追い上げをはかり、プッシュしてくれました。しかし、100号車とのタイム差は5秒前後を保ったまま、結局つめることができませんでした。もしもあのピットでの混乱がなければ・・・100号車と真っ向から勝負し、優勝が見えていたはずです。結局、1位100号車、2位18号車、そして3位には12号車カルソニックIMPUL Zが入りました。
今季初表彰台、2位で終わったもてぎラウンド。NSXのワンツーという結果は、Hondaファンにとっては素晴らしい結果だったのかもしれません。しかし、僕自身は、自分の走り、そして最終結果ともに納得しているわけではありません。他のNSXに関しても、8号車はトラブルのための修復作業に時間がかかり大幅にポジションダウンし16位、32号車は最終ラップの最終コーナーでガス欠になりマシンをコース上にストップし10位、と不運にみまわれました。100号車が優勝したものの、まだまだ勝つための流れを完全につかみきれたとは言えない状況です。圧倒的な速さを持っているのに何故?きちんと結果に繋げられない要因は必ずあるはずです。それが何なのか。残り3戦をきちんと戦いきるために、それを見出さなければならないと考えています。